突然だけれど、うちには魔女がいる。
魔女と言ってもワタシの母のこと。
「西の魔女が死んだ」という小説があるのだけれど、感覚としてはあの「魔女」に近いのかもしれない。ワタシの友人にも「うちの魔女が〜」と言うと、確かにうちの母はなぜか少し魔女っぽいと納得してもらえる。
うちの魔女は「私のくすり」という塗り薬をよく作ってくれる。
地下室にある真っ黒の大鍋でグツグツと煮込んで作ってくれるわけじゃないけど。
茶色い小瓶に入った「私のくすり」は、かゆみ、やけど、手荒れ、怪我
どーんな時でも「私のくすり塗っとき」と言われ、本当にそれはよく効く(笑)
やけどなんかは大得意で、ちゃんと毎日塗っていると、型も残らず綺麗に治ってくれる。
「私のくすり」は、母が毎回言う「私のくすり塗っとき」から来ていて、本当に大概のどんな時でも言われるから、家族が「私のくすり(笑)」と面白がって言い始めた。
だけど結局、それは今やすっかり定着し「私のくすり」は我が家の登録商標を勝ち取った。
うちの魔女の素敵な所は「私のくすり」のレシピを必要な人に誰にでもあげること。
お金なんて取ったことはない。むしろ、ワタシの友達が仕事ですごく手荒れしていて…など話していると、すぐに作って持たせてくれる。
「このレシピ私が作ったんじゃないし」と言ってくるけど、優しい魔女だなと娘は思っている。
優しい魔女の作った、優しい塗り薬のお話。